挑戦

「何もない」なんて言わせない!移住者が挑む、埼玉再発見の旅。新シリーズ「30代からの地域おこしログ」始動。

海を失った私の「静岡ロス」

「あぁ、静岡の海が恋しいな……」 埼玉に引っ越してきてから、何度この言葉が口をついて出たかわかりません。窓を開けても潮風の匂いはせず、どこまでも続く平坦な住宅街。かつて当たり前だった「水平線」が見えない生活に、私は密かな喪失感を抱えていました。

正直に言いましょう。今の私にとって、埼玉はまだ「魅力がどこにあるのか、よくわからない場所」です。

私の生い立ち:愛知、静岡、そして埼玉へ

なぜ私がこれほどまでに「海」や「開放感」にこだわるのか。それは私の生い立ちに理由があります。

私は愛知県で生まれ育ちました。そしてその後、静岡県へと移り住みました。静岡での生活は、私にとって「心地よさ」の基準そのものでした。休日は車を走らせればすぐに海があり、新鮮な生しらすや桜えびを楽しみ、富士山を眺めながら穏やかな時間を過ごす。そんな「五感が満たされる暮らし」がそこにはありました。

しかし、ライフイベントを経て、次なる住まいとして選んだのがここ、埼玉県でした。 引っ越してきた当初の正直な感想は、「……何もない?」という戸惑い。海がないことへの寂しさは想像以上で、しばらくは「静岡の方が良かったな」と過去を振り返ってばかりの日々を過ごしていました。

埼玉の現実:魅力度ランキングと自虐の文化

実際、世間の評価もシビアです。毎年話題になる「都道府県魅力度ランキング」では、埼玉は常に下位の常連。映画『翔んで埼玉』の大ヒットもあり、埼玉県民自身が「埼玉なんて何もないよ」と自虐するのが、ある種のコミュニケーション手段にさえなっています。

でも、ふと思ったんです。 「せっかく縁あって住むことになったこの街を、ずっと『魅力がない場所』と思いながら過ごすのは、あまりにももったいないのではないか?」

そもそも「彩の国」って何?という疑問

埼玉について調べていると、必ず目にするのが**「彩の国(さいのくに)」**というキャッチフレーズです。道路標識や公共施設、いたるところに書かれているこの言葉。

「一体、何が『彩り』なの?」

気になって調べてみると、これは1992年に公募で決まった愛称だそうです。「四季折々の色彩豊かな自然」「産業」「文化」、そして「彩り豊かな人々の暮らし」を願って名付けられたのだとか。

今の私には、まだこの街がモノトーンに見えているかもしれません。でも、この名前に込められた願いを信じて、自分の目で「彩り」を探してみよう。そう決意したのです。

理想の静岡と、現実の埼玉

■ 忘れられない、あの「静岡の味」

今でもふとした瞬間に、静岡で食べたあの味を思い出してしまいます。 口の中でとろけるマグロの刺身、ふっくらと茹で上がった釜揚げしらす。あの鮮度、あの香りは、一度知ってしまうと簡単には忘れられません。「休みができたら、また静岡へ行こうかな」——。そんな思いが、日常のふとした瞬間に頭をもたげます。

けれど、いざ計画を立てようとすると、現実という壁が立ちはだかります。 埼玉から静岡へ行くには、新幹線、在来線、あるいは車。どれを選んでも、時間もお金もそれなりにかかります。日帰りでも行けない距離ではないけれど、「せっかく行くなら、あそこもここも行きたい」と欲張ってしまううちに、結局「また今度でいいか……」と諦めてしまう。そんな、理想と現実の狭間で揺れ動く日々が続いていました。

■ 「近くて遠い」静岡への、断ち切れない想い

今でもふとした瞬間に、静岡で過ごしたあの至福の時間を思い出してしまいます。 口の中でとろけるマグロの刺身、ふっくらと茹で上がった釜揚げしらすの塩気……。あの鮮度と香りは、一度知ってしまうと簡単には忘れられません。休日が近づくたびに、「あぁ、また静岡へ行こうかな」という思いが頭をよぎります。

でも、いざ具体的に計画を立てようとすると、現実的な数字が私の足を止めさせます。 家から駅を乗り継いで、新幹線に乗ればドア・トゥ・ドアで2時間ちょっと。往復の交通費は約13,000円。

「行ける距離だし、払えない金額じゃない。日帰りだって十分可能。」

そう自分に言い聞かせても、どこかで躊躇してしまう自分がいるのです。せっかく行くなら、あそこもここも巡りたい、一泊してゆっくりしたい……。そんな欲張りな理想が膨らむ一方で、時間とコストのバランスを考えては「また今度でいいか」と諦めてしまう。この「近くて遠い」もどかしさが、私の中にずっと居座っていました。

■ 埼玉の洗礼。車両の長さに驚いた「通勤電車の衝撃」

そんな静岡への未練を抱えながら過ごす埼玉での日常は、私にとって驚きの連続でした。 一番の衝撃は、朝の通勤電車です。

「10両、15両……。あんなに長い車両が数分おきに走っているのに、どうしてこんなに隙間がないほど人が乗っているの?」

静岡の穏やかな空気感とは正反対の、圧倒的な「人の多さ」。どこまでも続く住宅街から溢れ出すエネルギーに、最初はただただ圧倒され、正直に言えば「しんどいな」と感じることも多かったです。

車移動に切り替えようと思っても、埼玉の道は意外と渋滞が多く、遠くへ行こうとすれば新幹線と同じくらいの時間がかかってしまうこともあります。便利なはずなのに、どこか不自由。住んでいる人がこれほど多いのに、自分はこの街の「本当の姿」を何も知らない。そんな違和感が、私の中にずっとありました。

■ 視点を変えてみる。「埼玉なら、もっと安く、もっと濃く遊べる?」

ある日、ふと考えました。 「静岡往復にかかる13,000円と往復4時間を、そのまま埼玉県内の探索に使ったらどうなるだろう?」

同じ予算があれば、県内の最高級のランチが食べられるかもしれない。同じ時間があれば、まだ見ぬ秘境のようなスポットに辿り着けるかもしれない。 住宅が多く、ただ「住む場所」だと思っていた埼玉。でも、これだけ多くの人が集まる場所には、必ず何か「理由」や「魅力」があるはずなんです。

「魅力がない」と嘆く前に、まずはこの街を「観光地」として、一人の旅人として歩いてみたい。 静岡への愛は宝物として胸にしまいながら、今度はこの「彩の国」に自分なりの色をつけていく。そんな新しい挑戦の始まりに、少しずつワクワクしている自分がいます。

30代の挑戦:バケットリストと「地域おこし」

私の30代のテーマは「挑戦」です。守りに入らず、新しい価値観に触れ続けること。 そして、私のバケットリスト(死ぬまでにやりたいことリスト)には、密かに**「地域おこしをしたい」**という項目があります。

いきなり大きなことはできなくても、まずは一人の住民として、この街のファンになることから始めたい。自分が楽しみながら発信することで、読者の方に「へえ、埼玉って面白いじゃん」と1ミリでも感じてもらえたら。それが私にとっての小さな、けれど確かな「地域おこし」の第一歩です。

新シリーズ始動!「観光地気分」で楽しむルール

そこで、今日からこのブログで新シリーズをスタートさせます。 タイトルは……

「埼玉再発見:30代からの地域おこしログ」

これからいろんな場所へ行くにあたって、自分の中で決めたルールがあります。 それは、「調べたりもするけれど、それぞれの場所に行ったら、思いっきり『観光地に来ている気分』で楽しむこと」

近場だからと日常の延長で済ませるのではなく、ガイドブックを片手にワクワクする旅人として、埼玉に向き合いたいと思います。

次回予告:古墳と桜、行田市で見つけた最初の「彩り」

今はまだ、定番の秩父春日部が気になっている程度で、「家から少し距離があるから、しっかり計画を立てなきゃ!」と意気込んでいる段階です。

でも、実はさっそく「埼玉の彩り」を探しに、ある場所へ行ってきました。 それは、古墳と桜のコントラストが美しいと知った**「行田市」**。 ネットで見つけた一枚の写真に惹かれて足を運んだその場所で、私は何を感じたのか。

次回、シリーズ第1弾として詳しくお届けします!