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【完全保存版】埼玉再発見vol.1:古墳と桜、そして「わたぼく」ソフト。行田市で見つけた県内1時間半の「極上ドライブ旅」

なぜ今、私は「埼玉」を本気で歩くのか

「埼玉って、本当に何もないの?」 引っ越してきて以来、自分の中でずっと繰り返してきた問いです。以前住んでいた静岡の、あの開放的な海や豊かな食を思い出すたび、正直なところ「埼玉での暮らし」にモノトーンな色合いを感じてしまう時期がありました。窓を開けても潮風の匂いはせず、どこまでも続く平坦な住宅街。かつて当たり前だった「水平線」が見えない生活に、私は密かな喪失感を抱えていました。

でも、私の30代のテーマは「挑戦」です。そして私のバケットリスト(死ぬまでにやりたいことリスト)には「地域おこしをしたい」という大きな夢があります。せっかく縁あって住むことになったこの街を、何も知らないまま「魅力がない」と決めつけて通り過ぎるのは、あまりにももったいないのではないか?

「だったら、一人の旅人として埼玉を再発見してみよう。この街を『日常』ではなく『観光地』として、全力で楽しんでみよう」

そんな決意から始まったのが、この新シリーズです。記念すべき第一歩として私が選んだのは、埼玉県行田市でした。

旅の始まり:ナビが告げた「1時間半」の小旅行と埼玉の洗礼

土曜日の朝、私は愛車のナビに行き先を打ち込みました。目的地は、行田市にある「さきたま古墳公園」。画面に表示された到着予定時間は「1時間半後」でした。

「同じ埼玉県内なのに、新幹線で静岡に行くのと変わらない時間がかかるの?」

正直なところ、最初は少し驚きました。静岡なら1時間半も走れば隣の県まで行けてしまう感覚だったからです。道中は、渋滞とまではいかないものの、途切れることのない車の列。埼玉がいかに「住んでいる人が多い県か」を、ブレーキランプの列に並びながら再確認します。

普段、15両編成という驚くほど長い車両が数分おきに走っているのに、隙間がないほど人が乗っている朝の通勤電車。そのしんどさに圧倒されていた私ですが、この日のドライブは少し違いました。北上するにつれて、景色がグラデーションのように変化していったからです。

自宅周辺のビル群が少しずつ低くなり、視界が横へと開けていく「郊外」の解放感。ふと標識を見ると、すぐ先には群馬県の文字。「あぁ、私は今、知らない場所を旅しているんだ」という高揚感が胸をくすぐりました。

【読者の皆様への耳寄り情報】 ちなみに、さきたま古墳公園の駐車場は無料です。この広々とした無料駐車場があるだけで、心に余裕が生まれます。都内のコインパーキングの料金を気にしながら歩くのとは大違い。車旅派にはこれ以上ない最高の加点ポイントです!

さきたま古墳:東日本最大級、歴史の巨大な足跡に桜が舞う

ついに到着した「さきたま古墳公園」。一歩足を踏み入れて、私はその異次元のスケール感に息を呑みました。

ここは、5世紀後半から7世紀初めにかけて作られた大型古墳が、狭い範囲に9基も集まっている**「埼玉古墳群(さきたまこふんぐん)」**。実は東日本最大級の古墳群であり、国の特別史跡にも指定されている、歴史の聖地なんです。

特に有名なのが、全長120メートルを超える前方後円墳**「二子山古墳(ふたごやまこふん)」や、かつて国宝の鉄剣が出土した「稲荷山古墳(いなりやまこふん)」。 教科書で見た記憶がある国宝「金錯銘鉄剣(金錯銘鉄剣)」**。115文字の金文字が刻まれたあの宝物が、まさにこの目の前の土の中に眠っていた……。そのロマンを想像するだけで、鳥肌が立つような感覚に襲われました。

そして、何より今の時期(4月上旬)、この歴史的な造形物に彩りを添えているのが、満開の桜です!

古墳の深い緑と、淡いピンク色の桜のコントラスト。武骨で力強い歴史の巨大な造形物と、一瞬の春を謳歌する繊細な桜の花びら。この新旧のコントラストは、ネットの写真で見ていた以上に立体的で、「埼玉には海がないけれど、ここには『空と歴史の海』がある」と確信させてくれました。

公園内を散策していると、ふわりと風が吹き、桜の花びらが古墳の盛り土の上に舞い落ちる様子は、言葉を失う美しさでした。

階段の試練:ジム通いの自信を打ち砕く「日本最大の円墳」

「せっかく来たんだから、一番高いところまで登ってみよう!」 ターゲットにしたのは、日本最大の円墳と言われる**「丸墓山古墳(まるはかやまこふん)」**。頂上へ続く階段を見上げた時は、まだ余裕だと思っていました。

しかし、ここからが本当の「修行」でした。 階段は想像以上に急で、一段一段が重い。中盤を過ぎる頃には息が上がり、ふくらはぎがパンパンに。 「私、一応ジムに通って鍛えているはずだよね……?」 普段、ジムでマシントレーニングをこなし、体力をつけてきたつもりでした。なのに、この巨大な歴史的建造物の前では、私のトレーニングなんて「まだまだ足りない!」と笑われているような気分。

ようやく登りきった標高約19メートルの頂上からは、行田の街並みや遠くの山々が一望できました。かつての権力者たちも眺めたであろう、広い広い関東平野。この心地よい筋肉痛こそ、私が埼玉の歴史に一歩踏み込んだ証拠。ジムのメニューに「古墳登り」を追加したいくらいの達成感でした(笑)。

さきたまテラス:謎のブランド「わたぼく」との出会い

古墳を下りて道路を挟んだ向かい側にあるのが、お洒落な休憩スポット「さきたまテラス」です。ここでは地元の食べ物やお土産が充実していますが、私は一つ、大きな後悔をしました。

「お昼ご飯、途中で食べてきちゃった……」

メニューにあった**「行田市の餃子」**が、ものすごく美味しそうだったんです。地元の名物を食べ損ねたもどかしさ。でも、これは「また来なさい」という街からのメッセージだと受け取ることにしました。

代わりに注文したのが、暖かい日にぴったりのソフトクリーム。使われているのは**「わたぼく牛乳」。初めて聞く名前でしたが、調べてみてその温かい由来に驚きました。 「わたぼく」とは、「わたくし、ぼく」**の略。 「私(わたくし)も、僕(ぼく)も、みんなこの牛乳を飲んで健やかに育ってほしい」という願いが込められた名前だったんです。

さらには、埼玉県内の多くの小中学校で給食に出されているという「伝説の牛乳」だということも知りました。地元の方にとっては「これなしでは給食は語れない」というソウルフード。 一口食べると、まるで牧場で食べるような濃厚でフレッシュな美味しさ!「これ、スーパーでも探してみよう」――旅で見つけた「地元の味」が、自分の日常と繋がっていく瞬間でした。

エピローグ:埼玉を「旅する」ということ

1時間半かけて来た行田。 同じ埼玉県内なのに、知らない場所へ行き、地元の味を知り、自分の足でその土地の風を感じることで、心はすっかり「観光地」にいる気分になれました。

静岡の海への未練は、今でも私の大切な一部です。マグロの刺身や釜揚げしらすの味、片道6,500円の新幹線代を考えては躊躇する日々。でも、今の私にはこの「埼玉の彩り」を探す旅が、新しいエネルギーになっています。13,000円をかけて遠くへ行くのもいいけれど、そのお金と時間を使って、足元にある宝物を探す楽しさに気づけたのは、大きな収穫でした。

次は行田の餃子をリベンジし、さらなる「彩り」を求めて秩父や春日部へ。 私の「埼玉再発見」の旅は、まだ始まったばかり。 次はどんな驚きに出会えるのか、今からワクワクが止まりません!