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旅行関係の仕事をする私が、あえて「今は旅行に行かない」と決めて、日常を旅する理由

旅行関係の仕事に携わり、毎日多くの方の旅をサポートする日々。デスクに並ぶパンフレット、次々と決まっていく誰かの旅の予定。仕事柄、常に「旅」というキーワードに囲まれて過ごしています。

本来なら、私もその波に乗ってどこかへ飛び出しているはずでした。でも、今の私は**「あえて、今は旅行に行かない」**という選択をしています。

1. 私にとって、旅は「明日へのガソリン」だった

そもそも、なぜ私はこんなにも旅行が好きなのでしょうか。見たことのない景色に出会い、現地の空気の中で美味しいグルメを頬張る。そんな時間は、日常の忙しさや現実をふっと忘れさせてくれる最高の贅沢です。

「旅行を予約してから、当日を迎えるまで」のあのワクワク感こそが、日々の仕事を頑張るためのガソリンだったんです。

しおりを作るように現地のカフェをリサーチし、あれこれ悩みながら荷物をパッキングする。その準備の時間さえも、私にとっては愛おしい旅の一部。旅は、私に「明日への希望」をくれる大切な存在でした。

2. 画面越しの「誰かの旅」が眩しすぎた日

仕事では、常に最新の観光スポットや、季節ごとの絶景写真に触れます。お客様に「この時期のシンガポールは最高ですよ」と笑顔でご案内しながら、心の中では自分のパスポートの出番が当分ないことを数えてしまう。

プロとして失格かもしれませんが、旅に行けない今の私にとって、それは時に**「美しすぎる毒」**のようでした。

3. 「旅動画」を閉じ、「掃除動画」の世界へ

夫が単身赴任になり、一人で過ごすことが増えた今。以前は夫と一緒にご飯を食べながら、「次はどこに行こうか」と語り合うのが日常でした。けれど一人で見ると、画面の向こうの景色はあまりにも眩しすぎて、今の自分との距離に胸が苦しくなってしまったんです。

寂しさから逃れるために、私はある日、スマホの検索履歴をガラリと変える決意をしました。大好きだった「旅系動画」を一切閉じ、代わりに「掃除系動画」の世界へ飛び込んだのです。

「旅に出たい」という情熱を、そのまま「家を磨き上げる」というエネルギーに変換する。それは私にとって、静かな、けれど必死の抵抗でした。

4. 100円ショップの道具で「家」を攻略する冒険

まずは窓の掃除から取り掛かりました。YouTubeで紹介されている「100円ショップの便利グッズ」の数々に驚き、いくつものお店をハシゴして道具を揃えるところから始めました。

かつて旅のパッキングをしていた時と同じ熱量で、掃除道具を選別する。

  • 窓とサッシ: 100円のブラシで汚れをかき出し、透明になったガラス越しに外を眺める。
  • 換気扇・水回り: ギトギトの油汚れや水垢を攻略した時の達成感は、旅のトラブルを乗り越えた時に似ていました。

掃除が完了に近づいた最近では、「浮かせる収納術」を駆使して、いかに美しく整えるか。一箇所ずつ丁寧に「制覇」していくことで、心の隙間を埋めていきました。

5. 【究極の妄想】今、もし制限が解けるなら「MSCベリッシマ」で航海へ

掃除の手を止め、ふとした瞬間に頭をよぎるのは、今の生活とは真逆の場所にある究極の「妄想旅行」です。

今、私が一番行きたいのは**「MSCベリッシマ」でのクルーズ旅行**。 かつてダイヤモンド・プリンセスの船内見学会で、その気品ある優雅さに圧倒されたことがありますが、今あえて選びたいのは、よりエネルギッシュで、誰をも受け入れてくれる懐の深さを持つ「ベリッシマ」です。

なぜ、今の私にベリッシマが必要なのか。プロの視点でその魅力を解剖すると、私の妄想は止まらなくなります。

■ 船内に一歩足を踏み入れた瞬間の「衝撃」

まず、乗船してすぐに私を迎え入れてくれるのは、あの有名な**「スワロフスキーの階段」**です。一歩踏みしめるたびにキラキラと輝くその階段を、今の掃除用スリッパではなく、お気に入りのヒールで昇ってみたい。 天井全体が巨大なLEDスクリーンになっているプロムナード(ガレリア・ベリッシマ)を見上げれば、そこはもう日本であることを忘れる異国。100円ショップの便利グッズで窓を拭いている今の日常から、一気に「光の街」へワープする瞬間を夢見ています。

■ 船内だけで完結する「非日常のパラレルワールド」

ベリッシマの魅力は、何と言ってもその圧倒的なエンターテインメント性です。

  • 洋上のシアター: 本格的なショーを毎晩楽しみ、現実を忘れる。
  • 美食のザッピング: メインダイニングでのフルコースはもちろん、ビュッフェで世界中の料理を好きなだけ。
  • 多国籍な空気感: 船内公用語は英語であることも多く、スタッフとの何気ないやり取りさえも「旅の挑戦」になります。

■ 「フォーマルデー」という魔法

特に私が憧れるのは、クルーズならではの「フォーマルデー」です。 普段、家で無心に換気扇の油汚れと戦っている私ですが、その夜だけは違います。とっておきのドレスを纏い、ニールズヤードの香りを纏い、ラブクロムで完璧に整えた髪でダイニングへ向かう。 「日常」という重荷をすべて陸に置いて、ただ一人の「旅人」として、贅沢な時間を享受する。このギャップがあるからこそ、旅は人生のご褒美になるのだと思うのです。

■ 「移動が旅になる」贅沢

寝ている間に次の目的地へ運んでくれるクルーズは、単身赴任中の夫を持つ今の私にとって、究極の「癒やし」です。 朝、バルコニーのカーテンを開けたら、そこには昨日とは違う海の色と、新しい街の景色が広がっている。重い荷物を持って移動する必要も、ビザの心配をして胃を痛めることも(クルーズなら手続きが簡略化されることも多いですからね!)、今はすべて忘れていい。

この「船全体がひとつの目的地」という感覚は、家の中を一箇所ずつ掃除して「自分の城」を整えている今の私の作業と、どこか似ているような気がしています。

6. 物理的な移動だけが旅ではない。日常を「冒険」に変える3つの方法

「旅」とは、単に地図上のA地点からB地点へ移動することだけを指すのではありません。 本当の旅の醍醐味は、**「いつもと違う視点を持って、新しい世界に触れること」**にあるはずです。そう定義し直したとき、私の日常は、航空券を持たずとも冒険に満ちたフィールドへと変わりました。

今の私が実践している、日常を「旅」にする3つの挑戦をご紹介します。

① 自分自身を「最高の景色」へと整える旅

旅先で美しい景色に出会うと、私たちは自分もその一部になりたいと願い、とっておきの服を着て写真を撮りますよね。私は今、それを日常でも行っています。

以前、妹から教えてもらった**「LOVE CHROME(ラブクロム)」**のコーム。強風で乱れた髪を一瞬で整えてくれるこの道具は、私にとって「どんな場所でも、自分を最高のコンディションに戻してくれる魔法」です。 家の中の掃除を終えた後、あるいはカフェでの作業前。サッと髪を梳かし、ニールズヤードのアロマを纏う。その瞬間、私の背筋は伸び、単なる「生活者」から、人生を闊歩する「旅人」へとスイッチが入ります。自分を整えることは、自分自身の鮮度を保つ、最も身近な挑戦です。

② 道具を「旅の相棒」として愛でる旅

かつて旅のパッキングにこだわったように、今はバッグの中のガジェット選びにその情熱を注いでいます。

例えば、Ankerのモバイルバッテリー。 「%」で残量が表示されるのを見つめていると、まるで飛行機の計器を眺めているような、不思議なワクワク感があります。ケーブルを解く時間を捨て、一体型のケーブルでスマートに給電する。その「無駄を削ぎ落とした美学」は、旅先でのパッキングの最適化に似ています。 カフェの小さなテーブルに、お気に入りのガジェットを機能的に配置する。それは、自分だけの「移動式コックピット」を作り上げる冒険。この「持ち物」へのこだわりが、私の移動時間を価値あるものに変えてくれました。

③ 「ブログ」という地図なき旅への出発

そして今、私が一番熱中している挑戦が、このブログを書くことです。

白い画面に向き合い、一文字ずつ想いを打ち込んでいく作業は、まるで初めて訪れる異国の街で地図を広げ、自分の立ち位置を確認する作業に似ています。 アドセンスの合格通知を受け取ったときは、まるで憧れの国の入国審査をパスしたときのような、震えるほどの喜びがありました。私の言葉が、どこかの誰かに届く。それは、物理的な移動距離をはるかに超えて、私の想いが世界へ羽ばたいていく「心のフライト」なのです。

YouTubeで「誰かの旅」を見て羨んでいた時間は、もう終わり。 これからは、私自身の「挑戦」という名の航海日誌を、このブログに刻んでいこう。 たとえ今はパスポートにスタンプが増えなくても、私の心には、挑戦を乗り越えるたびに見える「新しい景色」が、鮮やかに積み重なっています。

7. 2ヶ月後の「最高のリベンジ」のために

夫の単身赴任が終わるまで、あと約2ヶ月。 ビザの手続きや夫婦の温度差など、現実に旅立つまでにはまだハードルがあるかもしれません。

でも、今はYouTubeの動画を閉じて、自分の指を動かし、このブログを書き続けます。次に夫と一緒に旅の動画を見るときは、「行けなくて寂しかった私」ではなく、「一人の時間を使い切って、家も心も整え、新しい世界へ挑戦した私」として隣に座っていたい。

もし、あなたも今、何かを忘れたくて何かに没頭しているのなら。 その掃除が終わったあとの清々しい空気の中で、新しい「挑戦」の種をまいてみませんか?

「行けない」という制限さえも、人生を面白くするスパイスに変えていけるように。私の日常という名の旅は、ここから始まります。