いつもは近所のカフェにお気に入りのガジェットを持ち込んで、コーヒーを片手にブログを書くのが私の日常です。静かなジャズが流れる店内、適度な雑音、そして美味しいラテ。そんな空間でキーボードを叩く時間は、私にとって大切なリフレッシュであり、至福のひとときでもあります。
ですが、今日の私はいつものカフェにはいません。
ガタゴトと心地よい振動と疾走感に包まれながら、私は今、新幹線の座席に座っています。膝の上には愛用のiPad。窓の外を流れていく景色を時折眺めながら、この記事を書いています。
今回の目的地は、新潟県の燕三条。大宮駅から新幹線に乗り込み、乗車時間は約1時間半ちょっと。移動時間としては長すぎず短すぎず、ちょっとした作業をするには絶好のタイミングです。
ずっとやってみたかった「新幹線ノマド作業」。今回は、乗車前のワクワク感から、実際に車内でiPadを開いてみて突きつけられた厳しすぎる現実、そして車内のリアルな空気感まで、余すところなくたっぷりと語っていきたいと思います!
旅ブロガーへの憧れと、今回の「新潟旅行」のきっかけ
私は普段から、旅系のYouTube動画を見たり、さまざまな旅ブロガーさんの記事を読んだりするのが大好きです。全国各地、ときには世界中を旅しながら、その先々の魅力を発信しているクリエイターの皆さん。彼らのコンテンツを見ていると、必ずと言っていいほど登場するシーンがあります。
それは、移動中の新幹線や飛行機の機内、あるいは現地に到着してホテルの部屋に入った後、慣れた手つきでパソコンやタブレットを開いて作業をしている姿です。
「移動時間も無駄にせず、カフェのようにスマートに作業をこなす…カッコいいなぁ」
画面の向こうで手際よく編集や執筆をこなす姿を見るたび、私はいつも羨望の眼差しを向けていました。
その一方で、素朴な疑問が浮かぶこともありました。「こんなに移動中もホテルでも作業ばかりしていて、文字通り『旅』そのものを楽しめているのかな?」と。せっかく遠くへ出かけたのに、画面とにらめっこばかりしていたら、旅の思い出が「原稿」や「動画編集」になってしまいそうです。
けれど、配信されている動画の中の彼らは、間違いなくとても楽しそうなんです。景色を楽しみ、美味しいものを食べ、その合間の移動時間すらも自分のクリエイティブな時間に変えている。
「旅を楽しみながら、移動時間も自分の好きな作業に当てる。私も一度でいいから、あの旅ブロガーみたいな気分を味わってみたい!」
そんな密かな憧れが、私の中でずっと膨らんでいました。そして今日、ついにその憧れを実行に移す絶好のチャンスが訪れたのです。
今回の旅のきっかけは、夫の出張でした。 夫は明日、新潟で仕事があるため前泊が必要とのこと。「それなら私も一緒に行って、前日は観光しよう!」ということになり、夫の仕事に同行する形で1泊2日の新潟旅行が決まりました。
夫は明日仕事が控えているため、どこか緊張感が残っているというか、完全に「仕事の前乗り」という雰囲気。気分的には旅行モード全開という感じではなさそうです(笑)。ですが、私は違います。もう朝からワクワクが止まりません!
夫とは1日目、一緒に観光気分で新潟の街をぶらぶら散策する予定になっています。自分の大好きな人と、旅先で一緒に美味しいものを食べたり景色を楽しんだりできると思うと、新幹線に乗っている今この瞬間も胸が躍ります。そんな高揚感に包まれながら、私はバッグからiPadを取り出しました。
いざ「新幹線ノマド」開始!…と思いきや、突きつけられた「ネット全滅」の現実
「よし、今日こそ憧れの旅ブロガー気分で、スマートにブログ記事を書くぞ!」
気合十分でiPadをセットし、キーボードを繋ぎました。新幹線の座席にiPadを広げている自分。なんだかちょっと仕事ができる人みたいで、自意識過剰とは思いつつも「ちょっとカッコいいかも…」なんて心の中でニヤけてしまいました。
ところが、その優越感は開始わずか数分で崩れ去ることになります。
今回の作業にあたって、最初にぶつかった、そして最大にして最悪の壁。 それは「ネットがとにかく全く繋がらない」ということでした。
私の使っているiPadはWi-Fiモデルのため、単体ではインターネットに接続できません。外で使うためには、車内の無料Wi-Fiに接続するか、スマホからのテザリング(インターネット共有)に頼る必要があります。
まずは新幹線の車内Wi-Fiに接続を試みました。画面には「接続されました」の表示が出るものの、いざブラウザやアプリを開こうとすると、ぐるぐると読み込みマークが回り続けるばかりで一向にページが開きません。
「まあ、無料Wi-Fiは乗客みんなが使っているから混み合っているのかな」と思い、次にスマホのテザリングに切り替えました。スマホの4G/5G回線をiPadに飛ばして作業しようとしたのです。
ところが、スマホ本体の画面を見て愕然としました。 スマホの通常のネット回線自体が、驚くほど繋がりづらいのです。
アンテナマークが1本になったり、圏外になったりを繰り返し、通知すらまともに届かない状態。車内Wi-Fiがダメなだけでなく、スマホのモバイルデータ通信すら死んでいるという「完全なネット難民」状態に陥ってしまいました。
考えられる理由はいくつかあります。 一つは、夏休み期間ということもあり、新幹線がかなり混雑していたこと。多くの乗客が一斉にスマホを使って動画を見たりSNSを更新したりしているため、回線が極度に混雑していたのかもしれません。
そしてもう一つは、走行しているロケーションです。新幹線が山の近くを走ったり、次々とトンネルに突入したりする地域に入ると、スマホの電波は完全に途絶えてしまいます。トンネルに入るたびにネットは完全に途切れるため、オンラインでの作業など到底不可能な環境でした。
「スマホでも作業できることは十分あるから、スマホだけでも良かったのかな…」なんて一瞬頭をよぎりましたが、そもそもスマホのネット自体が死んでいるので、どちらにしてもネットを前提とした作業はできません。
旅行先でGoogleマップを開いたり、美味しいお店の情報を検索したり、そして何より素敵な写真を撮ったりするために、スマホのバッテリーは絶対に温存しておきたいところ。ネットが繋がらないのに無理してスマホでテザリングを続け、バッテリーを無駄に消耗してしまうのは旅先で困ることになります(もちろん充電器は持ってきていますが!)。
結局、ネットに繋がったのは新幹線に乗っている間、ほんの一瞬だけでした。
「もう少し快適にネットが繋がると嬉しいんだけどなぁ…」と、現代のインフラにほんの少し甘えたい気持ちになりつつも、ここで落ち込んでいても時間が勿体ありません。
私はオンラインで調べるような作業やブログの投稿作業はきっぱり諦め、iPadに最初から入っている標準の「メモ」アプリを開きました。
ネット不通だからこそ気づけた「移動時間をブログ作業に使う」本当の価値
ネットが繋がらず、最初は戸惑った新幹線ワークですが、iPadのメモアプリに黙々と文字を打ち込んでいくうちに、ふと大切なことに気づきました。
「移動時間をブログ作業の時間に使うって、ものすごく効率的で良いことかもしれない!」
もちろん、この移動時間も含めて大切な「旅行の時間」です。せっかく旅に出ているのだから、新幹線の車内の雰囲気や、移り変わる窓の外の景色を楽しむといった「旅行気分」は絶対に一番大事にしたい。
でも、移動時間という「スキマ時間」を上手に活用して作業を進めることで、結果的に旅行中の心に大きな余裕が生まれるということに気づいたのです。
普段、旅行から帰ってきたとき、楽しかった思い出と同時に「あ、帰ったらすぐにブログ記事を書かないと、ストックがなくなっちゃうな…」「旅行記、何から書き始めようかな…」と、心のどこかで焦りを感じてしまうことがありました。
でも、こうして新幹線の中という「旅が始まった瞬間の生々しい気持ち」のまま文字に起こしておけば、帰宅後にゼロから頭を抱える必要がありません。旅のワクワク感や車内のリアルな熱量を、冷めないうちにそのまま記事に落とし込めるのは、ブロガーとして最大の強みだと感じました。
また、新幹線の中で完璧な完成原稿まで仕上げられなかったとしても、まったく問題ありません。 「今回の旅ではどんなテーマで書こうか」「どんな構成にしようか」といったアイデア出しや骨組み作りだけでも移動中に終わらせておければ、それだけで大成功なのです。
移動中にアイデアの土台を作っておけば、旅の最中に「ブログのネタどうしよう…」と余計なプレッシャーを感じることもなくなります。現地では目の前の観光や美味しいご飯、旦那さんとの会話に100%集中して、思いっきり旅行を楽しむことができる。
「移動時間を効率的に使うことは、現地での旅行をより楽しむための余白(余裕)を作ることなんだ」
ネットが繋がらない不便さの中でも、思考を整理していく中でこの肯定的な気付きを得られたことは、私にとってとても大きな収穫でした。
ネット予約とスマート乗車!新幹線の便利進化に感動
今回の新幹線移動で、作業以外にもう一つ感動したことがありました。それが「新幹線チケットの取り方と乗車方法」の進化です。
以前、私のブログでも記事にしたことがあるのですが、実は今回の新幹線のチケット、割引価格(えきねっとのお得な割引きなど)で取ることができず、泣く泣く通常代金で支払いをして購入しました。直前の予約だったこともあり、お得な枠が埋まってしまっていたのです。
「安く買えなかったのは残念だな…」と思っていたのですが、乗車手続きを進める中でその進化に驚かされました。
今は、インターネットで新幹線の座席を予約した後、自分が普段使っている交通系ICカード(SuicaやPASMO)にそのチケット情報を紐付けることができるんですね!
昔のように、駅の券売機に並んで紙の切符を発行したり、発券機にクレジットカードを入れて発券を待ったりする必要が一切ありません。スマホやPCから予約して、自分のPASMOの番号をピピッと登録しておくだけ。
当日、大宮駅の改札口では、普段の電車に乗るときと全く同じように、手持ちのPASMOを改札機に「ピッ」とタッチするだけで、スッと扉が開いて通過できてしまいました。改札機からは小さな座席利用票がシュッと出てくるだけ。
「うわぁ、なんて便利な時代なんだろう…!」と、改札を通った瞬間、思わず一人で感動してしまいました。
私は普段、東海道新幹線を利用することが多いのですが、そちらを利用する時はいつも「宿泊と新幹線がセットになったお得なパックプラン」で予約することがほとんどです。そのため、こうした「ICカードに直接紐付けてチケットレスで乗車する」という体験は、今回が人生で初めてのことでした。
紙の切符を失くさないように財布の奥に入れて何度も確認したり、改札に通し忘れて焦ったりするストレスが全くありません。この便利さを一度知ってしまうと、もう元には戻れなさそうです。
「今後も新幹線を利用することがあれば、このIC紐付けシステムは本当に便利だから、どんどん使っていきたいな」と強く思いました。通常料金での購入にはなってしまいましたが、この時代の進歩を身をもって体験できただけでも、良い勉強になったと感じています。
夏休みで混雑する車内と「指定席」を選んで正解だった理由
今回の移動は夏休み期間ということもあり、駅のホームも新幹線の車内も、想像以上の人出で賑わっていました。
車内アナウンスを聞いていると、自由席はかなり混雑している様子。「座れるかどうか心配しながらホームで並ぶ」というのは、それだけで旅行前の体力を削られてしまいますよね。
今回の新幹線チケットを買う際、自由席にするか指定席にするか少し悩みました。自由席よりも指定席の方が、大人一人あたり「プラス700円」ほど高くなります。
「夏休み期間ではない平日とかなら、自由席にして、浮いた700円で車内で飲む美味しいドリンクやスイーツを買うのもアリかな」なんて最初は思っていました。
ですが今回は、せっかく夫と一緒に向かう道中ですし、移動時間をバタバタ過ごしたくありませんでした。ゆったり落ち着いて過ごしたかったので、迷わず「指定席」を購入することにしました。
結果として、この選択は大正解でした!
指定席の車両に入ると、自分の座席がしっかり確保されているという圧倒的な安心感があります。混雑する車内で席を探して右往左往する必要もありませんし、隣の夫とも並んでゆったり座ることができます。
700円の追加料金で「確実に座れて、作業や読書に集中できるパーソナルスペースと安心感」が手に入ると考えれば、混雑期における指定席のコスパは極めて高いと感じました。
車内は途中駅での乗り降りがかなり激しく、多くの人が行き交っていました。 大きなスーツケースやバックパックを抱えて降りていく乗客の方々を見ていると、「この人たちはこれからどこへ行くんだろう?」と、どんどん想像が膨らんでいきます。
「新潟の方で大きな夏祭りや花火大会でもあるのかな?」 「それとも温泉街へ行ってのんびり過ごすのかな?」
見知らぬ誰かの旅の目的地に想いを馳せるのも、電車旅ならではの醍醐味です。普段のカフェ作業では絶対に味わえない、旅情あふれる賑やかさがそこにはありました。
しかし、その一方で「集中力」という面では、やはり課題もありました。
新幹線での作業は私にとって今回が初めての経験です。乗り降りのバタバタした気配、車内アナウンス、そして何より窓の外の景色が気になって気になって仕方がないのです!
作業に没頭したい気持ち半分、外の景色や車内の雰囲気を楽しみたい気持ち半分。「初めての新幹線ワーク」で完全に集中するのは、正直言ってかなり難しかったというのが本音です(笑)。
静寂の中に響くキーボード音の恐怖!静音タイプの必要性
オフラインのメモアプリを開き、思考を整理しながら文字を入力していた私ですが、途中で背筋が凍るような出来事がありました。
新幹線が長いトンネルに入ったときのことです。それまで響いていたゴーッという走行音がふっと小さくなり、車内が一気に静まり返りました。乗客の皆さんも静かに過ごされており、車内はまるで図書館のような静寂に包まれました。
その瞬間です。
「カタカタカタ……ッッ!! パンッ!(エンターキー)」
私がiPadに繋いで持ってきた持ち運び用の外付けキーボードの打鍵音が、静まり返った車内に信じられないほど大きく響き渡ったのです。
「えっ、私のキーボード、こんなに音出てた!?」
普段、自宅や適度にガヤガヤしているカフェで使っているときには全く気にならなかったキーボードの「カタカタ音」が、静かな新幹線の車内ではまるで太鼓でも叩いているかのように響いて聞こえました。
一度気になり始めると、もうダメです。「周りの人に『うるさいな』って思われてないかな…」「迷惑になってないかな…」と急に恥ずかしくなり、冷や汗が吹き出てきました。
そこからは、周囲に気を遣いながら、キーボードのキーを指先でなでるように、極力音を立てないよう「そーっ…そーっ…」と超静音モードで入力するハメに(笑)。これでは作業効率もガタ落ちです。
あとで座席の前のポケットに入っていた車両案内誌を見て知ったのですが、新幹線には平日限定で「9号車」が「トレインデスク」という普通指定席として運用されているみたいですね。車内で仕事や勉強をする人を優先する車両で、いわば「動くカフェ」や「コワーキングスペース」のような存在です。

新幹線の使われ方も時代とともに変わっているんだなぁと感心しつつも、そういった作業優先車両であっても「作業音はなるべく静かに」と注意書きがされています。
今日は土曜日だったのでトレインデスクの運用日ではありませんでしたが、どちらにせよ車内マナーとして「音」への配慮は絶対に欠かせません。
今回の失敗を経て強く思いました。 「今後、新幹線や移動先で作業する機会が増えるなら、絶対に打鍵音が静かな『静音キーボード』を買い直そう…!」と。
憧れの旅ブロガーへの道は、道具選びの失敗と反省から始まるのだと痛感した出来事でした。
(後編へ続く)
