ずっと心のノートに眠っていた「やりたいこと」
「死ぬまでにやりたいこと」を書き留める、私のお気に入りのバケットリスト。
ノートを開いてペンを走らせていた当時、SNSやテレビ、雑誌のどこを見渡しても「昭和レトロ」という言葉が溢れていました。色鮮やかなクリームソーダ、使い込まれた純喫茶の革張りソファ、フィルムカメラで切り取られたような少し褪せた町並み。平成に生まれた私にとって、それは一度も暮らしたことがないはずなのに、なぜか胸をぎゅっと掴まれる不思議な魅力に満ちていました。
「教科書や古い映像の中でしか知らないあの時代を、ただ写真で眺めるだけじゃなくて、自分の足で歩いて、その空気や熱気を肌で吸い込んでみたい」
そんな思いから、私はバケットリストの1ページに「昭和レトロを全身で体験する」という項目を書き加えました。
昭和レトロを感じられる場所は、探してみれば全国各地にたくさんあります。昔ながらの温泉街の風情が色濃く残る熱海、ビルの中にノスタルジックな横丁を再現したお台場の商業施設、あるいは街角にひっそりと佇む名曲喫茶。どこへ行こうか調べながらワクワクしていた中で、ずっと頭の片隅から離れなかったのが、埼玉県所沢市にある「西武園ゆうえんち」でした。
2021年に大規模リニューアルを遂げ、昭和の町並みが丸ごと誕生したという噂は耳にしていました。「夏には大きなプールもやっていて賑わうらしいけれど、どんなところなんだろう」「大人が行っても本当に楽しめるのかな」と、気になりつつもなかなかタイミングが合わずにいた場所です。
そんな中、10月の平日に夫とちょうど休みが重なる日がありました。 「今ならプール営業は終わっているけれど、気候も穏やかだし、ゆっくり遊園地を歩くのに一番いい季節かもしれない!」
そう思い立ち、ふたりで車を走らせて出かけることにしました。
結論からお伝えすると、想像していたハードルを軽々と飛び越えて、最高の1日になりました。
今回は、平成生まれの私がなぜそこまで心を揺さぶられたのか。夕日の丘商店街の熱気、童心に帰った縁日、レトロな昼食、そして大迫力のアトラクションまで、バケットリスト達成の瞬間を余すところなくお届けします。
1. 朝10時のサプライズ!歌声に引き寄せられた「夕日の丘商店街」
平日の朝、秋晴れの澄んだ空気の中をドライブし、西武園ゆうえんちの駐車場に車を滑り込ませたのは10時ちょっと過ぎのことでした。
ゲートをくぐり、緩やかな坂を登って足を踏み入れた瞬間、目の前の景色が一変します。そこには、1960年代の高度経済成長期のエネルギーがそのまま凝縮されたような町並み、「夕日の丘商店街」がどこまでも広がっていました。

木造の建物、トタン屋根、ホーロー看板、手書きの映画ポスター。街全体がセピア色と鮮やかな原色の入り混じった独特の色調に包まれていて、歩き出した瞬間に日常の感覚がすっぽりと抜け落ちていくのを感じました。
「わあ、すごい……! 本当に別世界に来ちゃったみたい」
どこから見て回ろうかとキョロキョロしていたその時、通りの奥からピンと張った、驚くほど澄んだ歌声が響いてきました。
スピーカーから流れるBGMではありません。明らかに「生」の、血の通った誰かの歌声です。その心地よい声に吸い寄せられるように、私たちは足早に商店街の中心部へと向かいました。

広場のような開けた場所に行ってみると、なんと商店街の住人の衣装を着た方が、通りの中央で情感たっぷりに歌い上げていました。周りにいたお客さんたちも足を止め、自然と手拍子が湧き起こります。私も夫と顔を見合わせ、リズムに合わせてパチパチと手を叩きながら聞き惚れてしまいました。
テーマパークのショーというと、きっちりと柵で区切られた舞台の上で行われるイメージがあります。でもここは違いました。住人と通りを歩く私たちが同じ地面の上に立ち、境目なくひとつの空気を作り上げているのです。いきなりのライブ感あふれるおもてなしに、心が一気にほぐれ、胸が高鳴りました。
歌声の余韻に浸りながら、まずは小腹を満たすことに。通り沿いのお惣菜屋さんから香ばしい匂いが漂ってきたので、揚げたてのメンチカツをひとつ購入しました。
紙袋越しに伝わるアツアツの温もり。サクッとした衣をかじると、中からジューシーな肉汁と玉ねぎの甘みが口いっぱいに広がります。買い食いをしながら街を眺めるという行為そのものが、なんだかすごく懐かしくて贅沢です。
商店街の建物は、細部まで徹底的に作り込まれていました。実際に暖簾をくぐってお買い物ができるお土産屋さんや飲食店がある一方で、当時の暮らしを窓越しに覗き見ることができる展示店舗もずらりと並んでいます。
黒電話、足踏みミシン、真空管テレビ、軒先に干された洗濯物。 私は平成生まれなので、自分の幼少期にこんな街並みがあったわけではありません。自分の記憶の中には存在しない風景です。
それなのに、なぜこんなにも胸がぎゅっと締め付けられるような、温かい懐かしさを覚えるのでしょうか。
きっとそれは、幼い頃に見た昭和を舞台にしたドラマや、日曜日の夕方にテレビで流れていたアニメ、あるいは名作映画の中で、何度も無意識に触れてきた情景だからなのだと思います。「画面の向こう側の世界」として憧れを抱いていたあの温もりが、今、自分の目の前に立体として存在している。その感動が、胸の奥からじわじわと湧き上がってきました。
看板の文字ひとつ、色褪せたポスターの破れ目ひとつに物語が宿っていて、カメラを構える手がまったく止まりませんでした。
2. 現代のゲームセンターにはない温もり!大人が本気で熱中した「縁日」
商店街の熱気を抜け、緩やかな坂を下りて昔ながらの遊園地ゾーンへと歩みを進めました。すると、どこか懐かしい屋台がずらりと並ぶ一角が目に入りました。お祭りの風情がそのまま残る「縁日コーナー」です。

射撃、かんたおし、輪投げ、チャレンジボール、バスケットなど、色とりどりの屋台が並び、法被を着たスタッフさんたちが明るい声で呼び込みをしています。
料金システムを見てみると、1ゲーム500円。ですが、「3ゲーム券」を購入すると1,200円になり、300円もお得に遊べるとのことでした(※宝探しなど一部対象外のゲームもあります)。
「これ、やってみようよ!」と夫を誘い、まずは3ゲーム券を1枚購入して2人で挑戦することにしました。
私たちが選んだのは、射撃、チャレンジボール、そしてバスケットの3つです。
まずは定番の射撃から。木製のコルク銃を構え、棚に並んだ景品に狙いを定めます。重みのある銃身を構えて息を止め、引き金を引く瞬間の緊張感。コルクが「パシュッ」と音を立てて飛び出すたびに、「ああ、惜しい!」「今のはかすった!」と、屋台のスタッフさんが隣で一緒になって本気で悔しがってくれます。
続いて挑戦したチャレンジボールは、傾斜のついたレーンにボールを転がし、指定の穴に入れるゲーム。力加減が絶妙に難しく、強すぎると跳ね返り、弱すぎると届きません。息を呑んでボールの行方を見守り、見事に入った瞬間にはスタッフさんが鈴を鳴らして「お見事!」と満面の笑みで讃えてくれました。

バスケットゲームでも、リングに向かってボールを投げるたびに周囲から温かい歓声が上がります。
ふと我に返った時、胸の中がじんわりと温かくなっているのに気づきました。
現代のゲームセンターにある最新のゲームやスマートフォンの画面越しでは絶対に味わえない、「目の前にいる人と笑顔を交わし、声を掛け合いながら遊ぶ楽しさ」。そこには、忘れかけていた素朴でまっすぐな人情のやり取りがありました。
大人になってから、こんなに無邪気に的当てに熱中したことなんてあったでしょうか。すっかり子どもの顔に戻っていた私たちですが、特に夫の心に火がついてしまったようでした。この縁日の楽しさが、のちほど思わぬ展開を生むことになります。
3. レトロな御食事処「助六屋」の昼食と、待ち時間ゼロの遊園地
縁日でひとしきり体を動かして笑い転げたら、ちょうどお腹がぺこぺこになってきました。
商店街の中には、レトロな喫茶店「喫茶ビクトリヤ」もあり、名物のクリームソーダやプリンアラモードにも後ろ髪を引かれました。ですが、この時の私たちのお腹は、しっかりとしたご飯を欲していました。
そこで暖簾をくぐったのが、昔ながらの大衆食堂の佇まいを残す御食事処「助六屋」さんです。
ガラガラと引き戸を開けて店内に入ると、壁一面に古い映画のポスターや手書きの短冊メニューがずらり。パイプ椅子や使い込まれたテーブルの質感まで、昭和の町外れにある定食屋さんに迷い込んだかのような完璧な空気感です。
メニューにはラーメンやカツ丼といった定番が並んでいましたが、私たちは直感で惹かれたものを注文しました。
- 私:復刻オムライス
- 夫:チャーシュー麺 & 瓶コーラ
運ばれてきたオムライスは、最近流行りのふわとろ系ではなく、しっかりと薄焼き卵でチキンライスを包み込んだ、まさに王道のレトロスタイル。上には真っ赤なケチャップがぽってりとかかっています。スプーンを割り入れて口へ運ぶと、チキンライスの優しい酸味と香ばしさが広がり、どこかお母さんの手料理を思い出すようなホッとする味わいでした。

夫のチャーシュー麺も、澄んだ醤油スープに昔ながらの中華麺、そしてしっかり味の染みたチャーシューが乗った正統派。キンキンに冷えた緑色のガラス瓶から、小さなグラスにトクトクと注ぐ瓶コーラがまた最高の演出です。「こういうのが一番美味いんだよなあ」と夫も嬉しそうに啜っていました。


ちなみに、空間は徹底して昭和初期〜中期の世界観なのですが、お会計には各種電子マネーやQRコード決済が幅広く導入されていました。 「そこは令和の最先端なんだ!」と夫と顔を見合わせて笑ってしまいましたが、スマートフォンひとつでスマートに支払えるのは現代人としてありがたい限りです。
お腹も心も満たされた後は、秋風に吹かれながらアトラクションエリアをのんびり散策しました。
平日の西武園ゆうえんちの素晴らしいところは、どのアトラクションもほとんど待ち時間がないという点です。前の回のお客さんが戻ってきたら、そのまま次の回に乗れるような快適さ。休日特有の「並び疲れ」とは無縁の別世界でした。
まず乗ったのは、園内をカタカタと走る電車のアトラクションです。 緑豊かな敷地をぐるりと一周しながら、車窓のあちこちに隠れている園のキャラクターを探す仕掛けになっています。のどかな揺れに身を任せながら園内全体をぐるりと見渡すことができ、食後の腹ごなしにもぴったりでした。
続いて向かったのは、白や金色の装飾が美しいメリーゴーランド。 大人になってからメリーゴーランドに乗る機会なんて、そうそうありません。「何十年ぶりだろうね」と言いながら乗り場へ向かうと、待ち列はゼロ。広々としたフロアの中で、お気に入りの木馬をじっくり選んで跨がることができました。ゆったりと上下に動きながら流れるオルゴールの音色に包まれていると、本当に子どもの頃の休日に戻ったような、穏やかな幸福感に満たされます。
さらに、回転しながら上下に揺れる遊具に乗って心地よい風を浴びたり、途中に設置されたレトロなトリックアートの前で面白いポーズをとって写真を撮り合ったり。
少しスリルを求めて乗ってみた空中ブランコでは、予想以上の高さと遠心力にびっくり!大きく旋回しながら風を切る瞬間は爽快そのものでしたが、ぐるぐると回る視界に三半規管が刺激され、降りたときには「うわ、結構目が回ったかも……!」とふたりでよろけてしまいました。風を感じるのが好きな方には最高ですが、乗り物酔いしやすい方は少し注意が必要かもしれません。
そして、遠くからも目立っていた大きな展望タワーへ。 円形のキャビンに乗り込むと、ゆっくりと回転しながら高所へと上がっていきます。頂上に到達すると、眼下には豊かな自然と、太陽の光を浴びてキラキラと輝く美しい湖(多摩湖)の大パノラマが広がっていました。 空気が澄んでいたおかげで、遠くの山並みの向こうに富士山の頂上部分がちょこんと頭を出している姿まで見ることができ、思わず声を上げて見入ってしまいました。
4. 夫の縁日アンコール、懐かしの紙芝居、そしてハロウィンパレード
展望タワーを降りて広場へ戻ると、どこからか陽気な昭和の流行歌が聞こえてきました。
見に行ってみると、広場の中央で参加型のダンスショーが始まるところでした。キャストのお兄さんお姉さんが「さあ、みんなでステップを覚えて踊ろう!」と手振りを教えてくれます。
実は私、こういう大勢の前で踊るような参加型イベントは少し気恥ずかしくて苦手なタイプ。一方で、夫はこういうお祭りのノリが大好物です。 「私、あそこのベンチから写真撮りながら見てるね!」と見守り役に回る私を尻目に、夫は迷わず前列へ突撃していきました(笑)。
流れる昭和の名曲に合わせて、一生懸命に手足を動かしながら満面の笑みで踊る夫。周りのお客さんたちも一体となって笑顔でステップを踏んでいて、少し離れた場所から眺めているだけでもこちらまで楽しい気持ちが伝わってきました。
ショーが終わったあと、「めちゃくちゃ楽しかった!」と少し息を切らせて戻ってきた夫が一言。 「……ねえ、もう1回縁日行っていい?」
なんと、午前中に遊んだ縁日の楽しさが忘れられず、もう一度遊びたいと言うのです。大人をここまで夢中にさせる昭和の縁日、恐るべし。
夫は自腹でもう一度「3ゲーム券(1,200円)」を購入し、今度はかんたおし、輪投げ、そして午前中輩出したチャレンジボールに再挑戦。スタッフのおじさんと「次こそは!」「いけー!」と大盛り上がりしながら遊んでいる姿を見て、連れてきて本当によかったなとしみじみ感じました。
縁日を堪能したあとは、再び夕日の丘商店街へ戻って小休止。 通り沿いのお店で、みかんの缶詰をスプライトで割った特製ドリンクを注文しました。シュワシュワと弾ける炭酸の爽快感と、シロップ漬けのみかんのどこか懐かしい甘酸っぱさ。乾いた喉にじんわりと染み渡り、歩き疲れた体に最高のエネルギー補給になりました。

ドリンクを片手に商店街の路地を眺めていると、広場の片隅で「紙芝居が始まるよー!」という呼び込みの声が響きました。
自転車の後ろに木製の舞台を乗せた、正真正銘の街頭紙芝居です。 演じてくださったのは鈴木さんという方。演目は誰もが知っている「桃太郎」だったのですが、これが想像を絶する面白さでした。
鈴木さんの緩急あふれる見事な語り口、絶妙なタイミングで鳴らされる拍子木や鳴り物の音、そして観客を巻き込む軽妙な掛け合い。知っているはずの物語なのに、次はどうなるんだろうと子どもたちに混ざって身を乗り出して聞き入ってしまいました。テレビもスマートフォンもなかった時代、路地裏に集まった子どもたちがこうして目を輝かせていた光景が、鮮やかに目に浮かびました。
そして時計の針が15時を指す頃、商店街に賑やかな音楽が鳴り響き、本日のメインイベントであるパレードがスタートしました!
10月ということで、パレードは秋限定のハロウィンとコラボレーションした特別仕様。色鮮やかな衣装をまとったダンサーさんやキャラクターたちが通りを練り歩きます。
このパレードも、ただ眺めるだけではなくゲストが列の後ろについて一緒に練り歩く参加型スタイルでした。 もちろん、ここでも夫は迷わず参加。ノリノリで簡単な振付を真似しながらパレードの列に加わっていきます。私は沿道からカメラを構え、ハロウィンの華やかさと昭和のレトロな街並みが絶妙に混ざり合った不思議で可愛いパレードを、笑顔で見守りました。
5. 圧倒的没入感!「ウルトラマン」と「ゴジラ」の2大ライドを徹底比較
ここまで昭和の町並みや人情味あふれる体験をたっぷり語ってきましたが、西武園ゆうえんちのもうひとつの巨大な目玉を忘れてはいけません。
それが、高台にそびえ立つ映画館のような建物「夕日館」で体験できる大型スリルライド、「ウルトラマン・ザ・ライド」と「ゴジラ・ザ・ライド」です。
どちらも世界的な評価を受ける体験型アトラクションで、足が宙に浮いた状態で巨大な半球状スクリーンに対峙するフライトシミュレーター型。東京ディズニーシーの「ソアリン」のような浮遊感と、映画の世界に本当に放り込まれたかのようなド迫力の映像演出が融合したアトラクションです。
訪れる際に絶対に気をつけておきたいのが、時間帯による演目の入れ替わりです。 日によってスケジュールは異なりますが、私たちが訪れた日は「1部(午前〜午後早め)がウルトラマン、2部(夕方前〜閉園)がゴジラ」という完全入替制になっていました。両方体験したい方は、入園したら真っ先にその日の上映タイムスケジュールを確認しておくのが鉄則です。
私たちは午前中にウルトラマン、そして夕方の締めくくりにゴジラを体験することができました。どちらも平日の恩恵を受け、前の上演を待つ程度でほぼ待ち時間なしで案内されました。
実際に乗り比べてみると、同じシステムを使っていながら、視点と演出の違いによってまったく異なる感動がありました。
① ウルトラマン・ザ・ライド:圧倒的なスピード感と「空」からの視点
午前に体験したウルトラマンは、怪獣の襲撃を受けた街から救出艇に乗って脱出を試みるというストーリー。 目の前でビルが崩壊し、逃げ惑う人々の中を猛スピードで駆け抜ける疾走感が凄まじいです。そして何より、ウルトラマンが助けに現れた瞬間の鳥肌! 空高く飛び上がり、ウルトラマンの真横を並走しながら巨大怪獣との空中戦を目撃する感覚は、まさに少年の頃に夢見たヒーローの世界そのものでした。水しぶきを浴び、風を全身に受けながら空を翔ける爽快感は格別です。
② ゴジラ・ザ・ライド:足元から迫る絶望と「海・地上」からの臨場感
夕方に体験したゴジラは、ウルトラマンとは打って変わって、圧倒的な「恐怖」と「重厚感」に満ちていました。 突如として海から現れ、東京の街を容赦なく破壊し尽くすゴジラ。その足元をすり抜けるように逃走するライドの動きは荒々しく、ゴジラが咆哮を上げるたびにシートが激しく揺れ、地響きのような風圧が全身を叩きつけます。 目の前に巨大な尻尾が叩きつけられ、逃げ場のない絶望感の中で必死に生き延びようとするスリル。怪獣の皮膚の質感まで間近に迫るリアリティは圧巻で、乗り終わった後はふたりとも足がガクガク震え、「……すごかったね」と言葉を失ってしまうほどでした。
「空から見下ろすヒーローの疾走感」を味わえるウルトラマンと、「地上から見上げる大怪獣の圧倒的な威圧感」に圧倒されるゴジラ。どちらか片方だけ乗って帰るのはあまりにも勿体ないクオリティなので、訪れた際はぜひ両方を乗り比べてみてください!
結び:バケットリストの1ページに、誇らしげなチェックを
夕暮れ時。西武園ゆうえんちの空がほんのりと茜色に染まり、夕日の丘商店街の赤提灯や電球にぽつぽつと明かりが灯り始めました。
昼間の賑やかさとはまた違い、夕闇に浮かび上がる街並みはさらに哀愁とエモさを増し、本当に昭和の夕暮れ時に迷い込んでしまったかのような切なくも温かい空気が漂っていました。
ゲートへ向かって歩きながら、私はカバンの中からスマートフォンを取り出し、Google Keepにメモしてあったバケットリストを開きました。
画面に並ぶたくさんの「いつかやりたいこと」の中から、ひとつの項目を探し出します。
「昭和レトロを全身で体験する」
迷わず、その横にあるチェックボックスをタップしました。画面上で小さなチェックマークがついた瞬間、胸の奥にじんわりと深い達成感が広がっていきました。
それは単に「古い街並みを観光した」という事実以上の体験でした。
商店街の真ん中で見知らぬ人たちと手拍子を合わせた瞬間。
縁日の屋台でおじさんと声を掛け合って笑い転げた瞬間。
食堂の片隅で、瓶コーラを傾けながら他愛もない話をした瞬間。
紙芝居の語り口に、大人も子どもも一緒になって目を輝かせた瞬間。
平成生まれの私にとって、昭和という時代は「昔の歴史」でした。けれどこの日、西武園ゆうえんちで過ごした時間を通して、昭和の根底にあった「人と人との距離の近さ」や「素朴な熱気」は、時代が変わっても人の心を温めてくれる普遍的なエネルギーなのだと知ることができました。
ずっと憧れていた世界に飛び込み、全身でその空気を吸い込めた1日。 大人になってから、これほど無邪気に笑い、驚き、童心に帰って遊び尽くした休日は久しぶりでした。
心のノートに刻まれたバケットリストの達成記録とともに、夫とふたりで分け合ったたくさんの笑顔は、これからもずっと色褪せない大切な思い出です。
【次回予告・あわせて読みたい完全攻略編】
「西武園ゆうえんち、行ってみたいけれどアクセスはどうすればいい?」「カメラ式の前払い駐車場ってどうやって精算するの?」「一番お得なチケットの買い方は?」
これから西武園ゆうえんちへ行く方が絶対に知っておくべき、車と電車の徹底比較や事前Webチケットの買い方、平日の効率的な回り方をまとめた完全ガイド記事を執筆しました!ぜひ旅の計画の参考にしてくださいね。
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